本使い日記

『会話の0.2秒を言語学する』を使う

こんにちは、本使いです!

今回使うのは『会話の0.2秒を言語学する』です。

1 読んだら役に立つと思われる人

・会話が苦手な人

・会話がどうやってなりたっているのか知りたい人

・会話がどうやったら伝わりやすいか知りたい人

 

2 この本の個人的に良かったところ3点

①情報の有益さを知れたこと

②グライスの協調の原理の4つの公理を知れたこと

③会話が成り立つ構造を知れたこと

 

3 読んだきっかけ

この本を読んだきっかけは、

言語学というと書き言葉にする学問となんとなく思っていて、

言語学と会話の組み合わせに興味がひかれたので読んでみることにしました。

 

 

4 本を使っての変化

この本を読んで大きく3つの変化がありました。

 

まず、1つ目は、

情報の有益さを知れたことです。

 

この本の中で情報の有益さについて次のように書かれています。

①新たな知識を獲得できる場合

②すでに持っている知識の確度が上がる場合

③すでに持っている知識を放棄できる場合

 

有益さだと①の新しい知識のイメージが強いと思います。

 

②の確度が上がるは、

既存情報として知っていたが本当かなと思っていたことが、

確信出来たり、より確信できるようになったりすることです。

 

③の放棄できるは、

既存情報として知っていたが本当かなと思っていたことが、

間違いだとわかり他の情報に置きかわることです。

(〇〇さんは甘いものが好き→本人に聞いたら甘いものが苦手)

 

①~③を考えると有益でない情報が何なのか?

を考える方が難しいように思いました。

(同じ話を何回も繰り返されるのは聞く側として

有益さがないから苦痛なのだとわかりました)

 

会話をすることで自分の知識が更新されていくのだと改めて感じました。

 

2つ目は、

グライスの協調の原理の4つの公理を知れたことです。

 

グライスの会話の協調の原理の4つの公理とは、

①量の公理・・・必要とされるだけの十分な情報を与えよ。また、必要以上の情報を与えるな。

②質の公理・・・間違っていると思うことや、十分な証拠がないことを言うな。

③関連性の公理・・・相手の発話と関連性のあることを言え。

④様態の公理・・・不明瞭な表現や曖昧な表現、冗長な表現を避け、順序だった言い方をせよ。

 

情報が少なければ伝わらないし、多いと誤解を生む可能性がある。

(聞かれてもいないのにやけに饒舌に話すと疑われる。)

相手が正確なことを言っている前提でないと正確かどうかのチェックを入れはじめるときりがない。

(ということは、相手は本当のことを言っている前提になっている。)

自分とする会話なのだから自分に関係あることなのだと思ってしまう。

(主語のない会話をして、自分のことだと思ったら他の人のことだった。)

不明瞭や曖昧だと具体的には何かの確認が生じてしまう。

(ふだんはっきり言う人が不明瞭やあいまいなら何か隠しているのではと思われることも)

 

こうして考えると会話が如何に相手との共同作業なのかを感じます。

①-④を成り立たせるために質問をすることで、

まず相手の言いたいことを理解するように会話が進むことを改めて感じました。

 

 

最後の3つ目は、

会話が成り立つ構造を知れたことです。

 

会話の流れ

話し手

①相手が話す

聞き手

①【文構造の解析】

単語の切れ目を解析。語と語がどのように結びつき、

どういった文構造になっているのか分析する。

②【意味の理解】

各単語の意味を理解し、文の構造をもとに文の意味を決定する。

③【語用論的な推論】

この発話がどういった文脈でなされたかを考える。

そして、認知負荷が少なく、関連性が最大になるように処理をし、推移を導き出す。

 

ここまでは発話の理解

ここから発話の算出

 

④【ターンテイキングの準備】

相手の発言の意味や解釈が導き出せたら、

自分がターンをとれるタイミングをうかがう。

⑤【応答内容の整理】

同時に、どう応答するか、発話の内容を考える。

⑥【応答内容を文にする】

脳内の辞書から「面白い」などの単語を拾ってきて、それを組み合わせて文にする。

その際に、相手を傷つけたり不快な思いをさせないように、

適切な形式に調節してから発話する。

⑦【応答】

応答内容を口にする

 

こうして聞き手の対応の構造をみると、

随分いろいろなことをしているのだと改めて感じました。

(この工程を世界平均として0.2秒でこなしている)

 

単語の確認、文の構造の確認、相手との関係性による推論などを相互して意味の理解、

相手が会話を終えるタイミングをはかりながら、

自分が話す内容を考えて、伝え方を考えて話す。

 

こうした過程で、

①単語の意味の相違

②文の構造の理解の相違、

③相手との関係性による推論の相違、

④相手と会話がかぶる

⑤会話が思い浮かばない

⑥相手を傷つけるような言い方をしてしまう。

 

それぞれの工程で失敗する可能性があるのだから、

会話がうまくなりたたない、

間違った解釈が出てくることもあるなと改めて思いました。

 

会話はうまくいくものと思わずに、

うまくいかなかたったとしても自分を責めずに、

どうしたら相手に伝わるか?を大切にして会話をしようと思いました。

 

全体的な感想としては、

何気ない会話の中には実はたくさんの処理がされているのを感じる1冊でした。

 

5 おわりに

いかがでしたでしょうか?

気になった方は

会話の0.2秒を言語学する』を使ってみてはいかがでしょうか?